夜になっても眠れない、眠りが浅いことに悩まされた経験がある方は多いのではないでしょうか。寝付きが悪いことで寝不足気味になってしまうこともあり、翌朝の仕事に影響もあって困りますよね。眠れないなと感じるときに、対策できることはあるのでしょうか。
実は寝付きが悪い時、眠れない時にできることはいくつかあります。一般財団法人日本ふとん協会がまとめた内容を10に分類してまとめました。
布団つくりを通じて人々の眠りを支える「京都西川」がお届けします。

1.寝室の空調を見直そう

部屋が寒すぎたり、または暑すぎたりすると眠りにつけないことは、多くの方に経験があるのではないでしょうか。ひとが睡眠を得るためには、適切な温度調整が必要になります。この温度について、具体的にどれくらいの温度や湿度が保たれると快適に過ごせるのか調査がされておりますので、チェックしてみましょう。

【Check!睡眠の質を損ねる気温・湿度は?】
・夏における許容上限が気温28℃、湿度50-60%
・冬における許容下限が気温13℃、湿度50%

室内の温度・湿度としてはこれを上回る、または下回る温度・湿度となると、睡眠の質が損ねられるとされています。また、上記の結果から、室内環境においては通年にかけて16℃~26℃、湿度50-60%程度をキープすることで、寝付きのよい環境に近づけることができるともいえます。

実際には、次項で説明する、布団をかけたあとの「布団の中の温度」が眠りに直接的な影響があります。そのため、寝具を見直すことで環境を改善できることは多いです。しかし、部屋の空調が不快な水準だと寝具による改善も限外があります。冬は布団にくるまることで布団の中の温度を高めることができても、夏は空調なしに一晩を過ごすことは、熱中症対策の観点からも近年は推奨されません。

最近では冷暖房や空調機の質が高まり、夜の間運転し続けても電気代が抑えられるエアコンや空気清浄機等も販売されています。寝室の空調を見直してみてください。

2.布団に入ったあとの温度調整を見直そう

部屋の空調を見直したあとは、実際に布団に入ってから眠りにつくまでの間の「体の温度」について見直してみましょう。

【Check!睡眠に必要な布団の中の温度は?】
・布団の中の温度が33℃(前後1℃)程度であると快適
・人間の生理現象として、この温度を保つように寝返りなどを行う

部屋の気温は夏季や冬季でそれぞれ快適な数字がありますが、「布団の中の温度」は33℃が睡眠に快適な温度とされています。そのため、寝間着や布団は季節に応じて最適な組み合わせを選ぶ必要があります。

夏に寝苦しくて布団をかけずに横になってしまうことはありませんか。実はこれは間違いで、部屋の気温が熱帯夜で28℃程度だとしても、布団をしっかりかけて「布団の中の温度」は33℃を目指すことがコツになります。

また、冬には温かい布団を使用することが多いと思いますが、33℃を大きくオーバーすると逆に不快になります。寝返りをして、体の一部にこもった熱を開放したりしますが、布団が重いと寝返りがうちにくいケースが発生し、目を覚ますことも。「暖かくて軽い」という機能性を追い求めた結果、羽毛布団が支持されているのですね。

また、様々な調査の結果、体の末端から熱が円滑に放出されることで寝付きがよくなることが報告されています。具体的には、夏には冷却枕を利用することで頭部の熱が放出されます。冬には湯たんぽなど温度がゆっくり低下していく器具を足元に設置することで、これも足元の熱が円滑に放出されます。これらの寝具も活用してみてください。

3.お風呂のタイミングや入り方を見直そう

睡眠と入浴の関係についてもよく研究がされている分野です。ここで、研究結果を見てみましょう。

【Check!睡眠と入浴の関係は?】
・就寝の少し前の時間帯に適温のお風呂に入ることで、睡眠によい影響を与える
・適温の風呂として39℃~41℃がよい
・就寝直前に42℃以上の風呂に浸かると、寝付きには悪い影響を与える

お風呂については、適切なタイミング、適切な温度で入浴を楽しむことにより、睡眠によい影響を与えることがわかってきました。これは、入浴により体の中心部を1℃~2℃高めることで、専門用語としては「第1睡眠周期の徐波睡眠量」が高まるということなのですね。体の温度が一度高まったあと、本来の体温にむけて徐々に下がっていく過程で、眠気というものが起こっていく、人体の仕組みによるものだそうです。

逆に、睡眠から少し時間の離れた午前や夕方などという時間に入ることは、あまり睡眠への影響はないようです。また、入浴による温熱効果を持続するために、ぬるめのお湯にゆっくり浸かるほうが、より睡眠へのよい影響があるようです。

42℃以上のお湯に浸かると、急激に体温が上昇することにより興奮が得られ、寝付きが悪くなるという調査結果もあります。心地よい睡眠のために、お風呂の入り方も気をつけてみましょう。

4.食事と睡眠の関係を理解し、食事のタイミングや内容を見直そう

食べると眠りにつける魔法の食材というものはあるのでしょうか。ホットミルクを飲むと眠りにつける、というのは本当なのでしょうか。食事と睡眠の関係についてまとめてみました。

【Check!睡眠と食事の関係は?】
・ホットミルクが睡眠導入によい科学的根拠はない
・食事は「生活のリズム」を整える意味があり、決まった時間にバランスよい食事を心がけるとよい
・朝食をしっかりと摂ることで、生活のリズムを整えやすい

まず、食べると眠りにつける魔法の食材というものは見つかっていないようです。ホットミルクがよく眠れないときにおすすめされますが、「強いていれば温かいものを飲む/手に持つことの安心感などがよいのではないか」とする意見があるに留まり、科学的根拠は見つかっていません。

そのうえで、体内時計(専門用語では「概日リズム」という)を整えることが睡眠に影響を与えるとされており、食事の面では、朝食をしっかり摂るとよいとされています。特に朝から主食として炭水化物・タンパク質・少量の脂質、というバランスを意識するとよりよいでしょう。これは、パン・バター・ゆで卵・ハムといった組み合わせが該当します。和食ではご飯・納豆・焼き魚(鮭など)が理想的です。(それぞれ、栄養バランスとしてはサラダがあってもなお良いでしょう)

食事と睡眠の関係を解き明かすために、朝食の話がでてくるとは思わなかった…という方は多いのではないでしょうか。実は、朝にあることをすると体内時計(概日リズム)が整い、夜の寝付きに作用を与えるという事例は、その8の「光」の節でも紹介します。ぜひ一日の生活リズムを見直してみてください。

5.生活に運動を取り入れよう

運動をすると、寝付きがよくなりそうなイメージはありますよね。ではどれくらいの運動量や運動のタイミングがよいとされているのでしょうか。調査結果をみてみましょう。

【Check!睡眠と運動の関係は?】
・寝る2-3時間前に軽い運動を行うとよい
・軽い運動により体の体温が上昇することで、入浴と同じような入眠促進の効果が期待できる
・激しい運動をすると寝付きは悪くなる

実は運動と睡眠の関係については、お風呂と睡眠の関係ほどには研究ができているわけではないようです。それでも、米国睡眠財団による2003年の調査で、週1以上で運動する高齢者において睡眠の問題が少ないことがわかっていたり、運動がもたらす精神的な効果が睡眠に影響しているのではないかということはかねてから言われてきたことです。

ただし、激しい運動をすると、筋肉痛や興奮作用などにより寝付きが悪くなることがあります。どれくらい運動をすると筋肉痛になったり、興奮するかというのは、ご自身の運動能力や体力によるため、「腹筋30回までなら良い」「ジョギング5キロまでなら良い」という具体的な指標がありません。自分にとって心地よい運動の量は、ご自身で見つけていく必要があります。

寝付きが悪いほか、生活自体が不摂生だったり運動不足を感じるときは、ジョギングなどの軽い運動から少しずつ取り入れてみてはいかがでしょうか。

6.カフェイン摂取やアルコール摂取のタイミングを見直そう

コーヒーやお酒などの嗜好品は、睡眠にどのような影響があるのでしょうか。これらは実はどちらも睡眠にはあまりよい影響は与えないようです。研究結果を見てみましょう。

【Check!睡眠とカフェイン・アルコールの関係は?】
・カフェインは覚醒作用があるため入眠前の摂取は推奨されない
・お酒は眠気をもたらすことはあるが、その後利尿作用やそれによる中途覚醒など、睡眠後半への悪影響が大きい
・いずれも耐性について個人差が大きく、自分の体質を把握することは大切

まずカフェインですが、想像通り、眠気が覚める覚醒作用があるため、就寝前は避けたほうがよいでしょう。ひとにより覚醒維持時間に大きく差があるようで「○時までならコーヒーを飲んで良い」という指標がありません。あまりに夜眠れなくて困っている場合は、カフェインをなるべく摂らないようにして自分の体調がどう変化するか実感を得るなど、自分のカフェイン耐久性を知ることは良いことです。

アルコールについても、寝る目的で摂取することは推奨されていません。ただしアルコールは体質により少量のお酒であれば数時間で代謝されるので、リラックス効果や気分転換につながることが寝付きを助けることもあります。

いずれも自分の体質にあった摂取量やタイミングを見つけることが大切なのは、「運動」の節でご紹介した内容と似ていますね。

7.騒音と睡眠の関係を知り、住環境を見直そう

寝室が幹線道路沿いにあったり、外の騒音や会話音が聞こえたりすることで、「うるさくて眠れないな」と感じる場合はどうしたらよいでしょうか。

【Check!睡眠と騒音の関係は?】
・冷蔵庫が夜に「ブイーン…」と鳴り続けるような連続音(30デシベル)から睡眠に悪影響がある
・騒音を打ちけすためにヒーリングBGMをかけることで、ある程度の効果が期待できる
・いずれにしても静かな環境が一番なので、住環境から見直すことも検討したい

睡眠に影響がある音のレベルとして、冷蔵庫が動き出す音(30デジベル)から少しずつ影響が大きくなるといいます。人間ってなかなか繊細な生き物なのですね。それよりも大きい音だと不快指数が高まっていくため、幹線道路で乗用車やトラック、電車の騒音が聞こえる、といった環境は睡眠の敵であるといえます。

騒音が気になる場合に、川のせせらぎや波の音といったヒーリングBGMをかけることはよいとする意見もあります。不快な音を、BGMで打ち消す発想です。音は、その大きさだけではなく、同じ大きさの中にも快・不快があるため、ヒーリングBGMのような音源で精神状態を落ち着けることには、一理あります。

この場合、BGMの音量を少しずつ下げられるとよいよいでしょう。ただしこの方法は、あまり研究者には支持されていないようです。「うるさいな」と感じて寝付きに悪影響があるような環境は、そもそも住環境を見直すことを検討してみてください。

8.睡眠に適切な「光」を知り、部屋の照明を見直そう

部屋が明るいと眠れないことは想像に容易くないですが、睡眠に適切な「光」というものはあるのでしょうか。調査結果をみてみましょう。

【Check!睡眠と光の関係は?】
・光は脳を覚醒させる。まぶたを閉じていても光は脳に影響する。
・昼は明るく夜は暗い、というサイクルが守られることも必要
・寝室の照明は、蛍光ランプやLEDよりも白熱灯が好ましく、電球色(オレンジ色)だとなおよい

イメージ通りの調査結果ではありますが、まず光というものは脳に覚醒作用をもたらします。よい睡眠のためには生活サイクルが規則的である必要があり、朝はきちんと光で目覚め、日中は覚醒作用を維持し、夜は徐々に光を弱めていく、ということが睡眠に好影響を与えるとされています。寝る直前の状態だけでなく、朝の状態からすでに眠りへの影響があるというのは、「食事」の節でも説明しましたね。

そして夜は、完全に暗くしてしまってよいですが、安全性のために照明をつけることもあると思います。その場合は「光源」に気をつけるとよいとされており、蛍光ランプやLEDは「分光分光源」「相関色温度」など様々な分析において夜間照明として望ましくないという意見があります。白熱灯が好ましく、電球色(オレンジ色)だとなおよいとされています。

※LEDでも光の調整がなされ、近年では改善されている製品もあります。

照明選びの際には意識してみてください。

9.寝室の香りを見直すことで、寝付きはよくなる?

リラックス効果のあるアロマテラピーなどが、睡眠によい影響を与えることはあるのでしょうか。睡眠と香りに関する調査結果をみてみましょう。

【Check!睡眠と香りの関係は?】
・科学的に香りが睡眠によいとするような見解はあまり無い
・どちらかというと入眠前のリラックス効果という間接的な作用が大きいため、好みにあわせてつかってみては
・その中でも「セオドール」という香気成分が注目されている

これまでも、精油のなかでもミント・ジャスミンなどは覚醒作用、ラベンダー・カモミールなどは沈静作用があると経験則的に示されてはきました。好みに個人差が大きいことなどがあり、科学的に立証されることがなかなか無いものの、寝付きがよくないな、と感じるときに沈静作用があるとされる香気成分を就寝前に楽しんでみるのはよいでしょう。

その中でも、微香性の「セオドール」という香気成分が注目されています。覚醒中の交感神経活動を制御する作用が認められたことや、成人女性において「入眠潜時の優位な短縮」などが示されたとのことなのです。

なお、香りについては、その香気成分が体内に入り込んでなにか直接的な作用をするというより、リラックス効果といった心身への間接的な影響の作用が大きいともいわれています。自分の好みに合った香りを見つけて、生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

10.寝具を見直してみよう

ここまで空調、入浴、食事、運動、香り、など様々な要素で睡眠との関係をみてきましたが、眠りに直接的に影響する布団(寝具)について見直すことも大切です。

布団に求められる機能としてこれら5つの性能が、睡眠中の生理現象と密接な関わりがあるとされています。

・保湿性
・吸湿・浸湿・放湿性
・軽さ
・ドレープ性(フィット性)
・支持性能(床つき感がないこと)

つまり、温度をキープすることなく、湿気を放出することなく、重く、寝返りがうちにくいほど硬く、床つき感があるような布団は、眠りの質を損なうということです。これらの性能にあまり意識されずに作られた布団が、量販店でお求めやすい価格で流通していることもあり、知らずのうちに睡眠環境を損ねているケースもあります。軽い素材で作られていても保温性が少ないなど、5つの要素を満たすことは技術的に高度なことなのですね、

保温性があって軽くて放湿性も高い寝具の代表格が、「羽毛布団」です。羽毛布団のなかでも、羽毛の品質や製法はピンキリといってよく、粗悪な製品には気をつけたいところ。

この記事を配信している京都西川は、よりよい眠りの実現を目指して製品開発を続けてきました。眠りにくいなと感じるときに、寝具もチェックをしてみてください。その際には、京都西川の製品もぜひ検討をしてみてください。

睡眠環境を見直して、よい睡眠を目指そう

ここまで10の切り口で、眠れない時にチェックすべき項目を整理してみました。簡単に導入できそうなコツから、すぐに取り入れられそうな習慣の見直しまで、人によって様々な気付きがあると思います。睡眠環境を見直して、よい睡眠を目指しましょう。

出典:睡眠環境と寝具『睡眠編』、睡眠環境と寝具『寝具編』/一般財団法人日本ふとん協会