日本人が大好きなお風呂。毎晩欠かさず湯船に浸かる方も多いのではないでしょうか。そこで気になるのが、寝る前に入浴することによる寝付きへの影響です。最近寝付きがよくないな、と思う方は、お風呂の入り方を工夫してみるのはいかがでしょうか。入浴と睡眠の関係について、一般財団法人日本ふとん協会がまとめた情報をご紹介します。
布団つくりを通じて人々の眠りを支える「京都西川」がお届けします。

ずばり、入眠前のお風呂はよいの?

結論からいうと、適切な温度・適切な時間帯であれば入眠前のお風呂は、寝付きによいことがわかっています。具体的な時間や温度はこちら。

【Check!入眠によいお風呂の温度や時間】
・夕方から就寝の少し前の時間帯までに適温のお風呂に入ることで、睡眠によい影響を与える
・適温の風呂として39℃~41℃がよい

お風呂に入る時間帯について、夕方から就寝の少し前の時間帯とされています。具体的な時刻については、それぞれの生活サイクルによるということとなりますが、23時に就寝する場合は18時~22時までに入浴を済ませておくことがよいのではないでしょうか。

一方で時間については具体的に39℃~41℃がよいとされております。これは入浴と睡眠の関係が主に体温の変化を中心に研究されたことから、知見が多く集まっているようです。

入眠前のお風呂について適切な温度・適切な時間帯であれば寝付きによいとされていますので、ぜひ生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。そして、なぜ39℃~41℃のお湯がよいのか、人体の仕組みはどうなっているのか、42℃以上のお湯だとなぜダメなのか。順番に見ていきましょう。

なぜ39℃~41℃のお湯がよいの?

39℃~41℃のお湯といえば、熱い風呂が好きなひとにとっては、少しぬるいなと感じるような温度帯かもしれませんね。適温の湯に入浴をすることで、深部体温が1℃~2℃上昇することで、その後の睡眠によい作用をもたらすそうです。

深部体温が1℃~2℃上昇するとなぜ睡眠によい作用をもたらすのか、以下の研究結果が報告されています。

【Check!深部体温が1℃~2℃上昇すると起こる体の変化】
・深部体温が1℃~2℃上昇すると、睡眠潜時が短縮傾向にあるこが判明
・さらに、第1睡眠周期における徐波睡眠量と呼ばれるものが増大

なぜ体温を高めるだけでこのような効果が得られるのか、少し難しい用語になりますが「概日リズム」というものを知る必要があります。簡単に言うと体が認識する生活サイクルのことですが、例えば朝は日光を浴びて食事をとることで、体が朝だと認識するわけです。このような概日リズムの仕組みが人体に備わっており、その中でも睡眠への影響もあります。夜は体温を高めてから体温を下げはじめ、眠りに備えるのです。

ここで、体温がピークになる夕方から夜の時間帯にかけて、さらに入浴によって体の体温を上げると、さらに暖められた体温が「下がる」ことで、入眠が促進されます。入浴することで深部体温が上昇することで、下降するペースもあがるために、入眠が促進されやすくなるというメカニズムとなっているのですね。

逆に42℃以上のお風呂はダメなの?

体温(正確には「深部体温」)を高めることで、概日リズムと呼ばれる生活サイクルにあった体温の上下を入浴でサポートし、入眠促進がなされることがわかりました。それでは、熱いお湯でささっと体温を高めるような入浴でも良いのではないかと思うのですが、どうやらそうではないようなのです。

【Check!深部体温とお湯の温度の関係】
・42℃の高温のお風呂では、興奮作用・覚醒作用がある
・興奮作用や覚醒作用が得られると、寝付きが悪くなる

調査の結果、42℃以上のお湯では、好感系機能が高い度合いに進む(亢進する)ことによる興奮作用や、体温上昇が大きすぎることによる覚醒方向の作用が持続することで、寝付きへ悪い影響があるようです。

また、深部体温は、ゆっくりと温度上昇をした場合はゆっくりと温度低下をします。逆に、急激に深部体温が上昇した場合は、温度低下も急降下していくこととなります。温度の急上昇や急降下は、入浴に伴う血圧の乱高下を招いたり、過度な加温効果が発生してしまいます。

適切な温度のお湯にゆっくりと浸かることで、お風呂をあがったあとに「遅延効果」が発生するため、39℃~41℃のお湯にゆっくりと浸かることが推奨されます。

特に睡眠直前に熱いお風呂に入ることがよくないとされています。熱いお湯が好きな方は、早めの時間帯に入浴を済ませるとよいでしょう。

「適切な時間」っていつ?入ってはいけない時間はある?

一般財団法人日本ふとん協会がまとめた調査結果によれば、お風呂に入るべき時間帯は「夕方から就寝の少し前の時間帯まで」とされています。これは、前述したとおり23時に就寝する場合は18時~22時までに入浴を済ませることとして解釈をしています。さらに詳しく解説すると、ポイントは、以下の3つです。

【Check!お風呂に入る時間と睡眠の関係】
・午前中や午後の早い段階の入浴は、睡眠への影響はない
・入浴後、しばらく温熱効果が続き、深部体温は上がり続ける。深部体温が下がる時に、入眠へ良い作用がある
・入眠直前に風呂に入ると、体温上昇が続くために、寝付きが悪くなる

お風呂に入ることで寝付きがよくなるという原理には、主に体温上昇によるものが考えられているため、午前中や午後の早い段階の入浴は特に夜眠りにつくときの作用はないものとされています。寝付きに悪い影響があるわけでもありませんので、温泉旅行などのシーンで朝や昼間からゆっくりと温泉に浸かることは何ら問題ありません。

また逆に、寝る直前すぎる場合は、深部体温の低下を手助けできなくなり、入眠にやや時間がかかることも考えられます。

もちろん毎日睡眠のことを考えてお風呂の時間をコントロールできるほど、時間にゆとりのない方がほとんどだと思います。あくまでも参考にし、無理ないペースで自分なりの生活サイクルを見つけていくのがよいでしょう。

ただ、日々寝れずに困っているような状態の場合は、お風呂の温度や時間についてこだわってみると良いのではないでしょうか。

シャワーだけで湯船に浸からない場合は、睡眠と関係ある?

忙しい生活サイクルのなかで、なかなか湯船に浸かることができないこともあると思います。最近の若い人は、住宅事情もありシャワーだけで過ごしているひともいるのではないでしょうか。

それでは、シャワーだけで過ごして湯船に浸からない場合は、睡眠と関係あるのでしょうか。これまでの調査結果から、適切な温度の湯船に浸かることによる温熱効果が、深部体温へ適切な影響をもたらし、寝付きをサポートしていることがわかりました。

シャワーの場合、深部体温を上昇させるほどの温熱効果は得られないと考えられるので、寝付きへは特に良い影響も悪い影響もないと考えられます。

ただし、お風呂には、湯船に浸からずシャワーだけであっても、広い意味でのリラックス効果があると思います。心身の緊張をほぐし、一日をリセットさせてスッキリする効果はシャワーにもあるはず。湯船に浸かる時間がなくても、生活習慣としてシャワーを浴びてから寝ることは意識してみましょう。

生活サイクルを見直して、よい睡眠を目指そう

ここまで、入浴と睡眠の関係を明らかにしました。すぐに取り入れられそうな生活サイクルやお風呂の入り方まで、人によって気付きがあると思います。お風呂の入り方や生活サイクルを見直して、よい睡眠を目指しましょう。

出典:睡眠環境と寝具『睡眠編』、睡眠環境と寝具『寝具編』/一般財団法人日本ふとん協会